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コラム
2022.12.13
エビデンスの広義の意味としては、証拠や根拠という意味の言葉です。この言葉は業界によって意味合いが様々変わってきます。健康食品におけるエビデンスとは、「本当にこの商品を摂取しても安全なのか」また「この商品を摂取したら本当に効果があるのか」を実際に人に対して検証しているかということになります。人の体の構造はとても複雑で、科学技術が進歩してきた現代でもまだまだ解明されていないことが多々あります。そのため、この原料は科学的に安全だろうと考えられていても、実際に摂取したら安全ではなかったということが生じる可能性があります。また、今まで健康被害の報告がない原料を使用してサプリメントを開発したとしても、サプリメント形状にするために使用した他の製剤との兼ね合いで健康被害が出てしまうこともあります。したがって、健康食品でエビデンスを取得しようとする際には注意が必要です。
次のセクションでは、エビデンスについて深掘りする前に、健康食品に関して紹介していきたいと思います。
機能性表示制度の施行や新型コロナウイルス (COVID-19) の流行により、年々「健康食品」対する関心が高まっています。現在、ドラックストアやスーパー、コンビニをはじめとして、様々な場所で目にすることができます。しかし、「健康食品」の有効性や安全性をしっかり確認せず、安全で健康そうだからなんとなく使っている人は多いのではないでしょうか。
「健康食品」とは、厚生労働省によると、『法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているもの』と示されています1。
現在、カプセルや錠剤の医薬品に類似する形状のものだけでなく、生鮮食品やペットボトル飲料、チョコレートやガム、ゼリーなど、様々な形状のものが、健康食品として販売されています。また、作用についても様々あり、食後の血糖値の上昇を抑制する効果や、内臓脂肪や体脂肪を低減する効果、血圧低減、睡眠の質改善、最近では免疫機能サポート効果がある健康食品も販売されました。このように現在では多種多様な健康食品が販売されており、それぞれに合った健康食品を手に入れやすくなっています。
上記で記載したように、現在様々な健康食品が販売されている中で健康被害も散見されています。中には長期摂取や過剰摂取での死亡事例もあり、「健康食品だから必ずしも安全」というわけではありません2。そのため、消費者は健康食品の有効性や安全性のエビデンス (科学的根拠) を見極めることが重要になってきています。そのエビデンスの信頼性の指標として、エビデンスレベルという言葉があります。次のセクションでは、その「エビデンスレベル」について紹介していきたいと思います。
エビデンスレベルとは、エビデンスの信頼性を示す基準のひとつです。臨床試験のエビデンスレベルの模式図は以下のようになります。
出典: データの取り扱いについて|厚生労働省3
このように、観察研究、介入研究、データ統合型研究の順にエビデンスレベルは高くなります。この中で介入研究に着目し、例を踏まえて、エビデンスレベルについて、説明していきたいと思います。例えば、健康食品を全参加者に摂取してもらい、有効性を検証した試験 (非ランダム化比較試験) の結果と、2グループに分け、有効成分が含まれている食品 (被験食品) と有効成分が含まれていない食品 (プラセボ; 偽薬) を使用して、2つのグループを比較して、有効性を検証した試験 (ランダム化比較試験) の結果があったとします。この2つの検証方法では参加者が健康食品を摂取するのは同じですが、摂取方法や比較方法が異なります。では、どちらの評価方法の信頼性が高いでしょうか。それは後者の評価方法の信頼性が高くなります。なぜなら、後者の方が試験実施者の主観が入りにくいためです。
つまり、高いエビデンスレベルを取得する場合には、並行群間比較試験などの試験方法を計画し、安全性や有効性を検証することが必要となります。
しかし、このようなエビデンスレベルの高い試験を行うことはとても大変です。上記で例に出した後者の試験を簡単に説明すると、試験参加者 (被験者) を募集し、実際に食品を摂取する人を選定する検査 (スクリーニング検査) を行い、参加者の分布が均一になるように2つのグループにランダムに分けます。その後、選定した人に試験食品 (被験食品・プラセボ) を摂取してもらい検査に来てもらいます。検査終了後、統計解析を行います。このような流れでヒト臨床試験が進められます。これら一連の運営にあたり、検査では採血等を行うので、看護師や医師の先生方の協力、統計解析では、解析処理やその結果の解釈を行うために専門知識が必要になります。これは、エビデンスレベルが高い試験に限らず、有効性や安全性を検証する試験を行う場合は、多かれ少なかれ同様の作業が必要になります。そのため、ヒト臨床試験を行うためには、期間と費用がかかり、試験実施には高いハードルがあるのが現状です。
では、エビデンス取得の試験を行うメリットは何なのでしょうか。
エビデンス取得の試験を行うメリットとしては下記のことが挙げられます
まず、1つ目に自社製品の有効性や安全性を証明できることです。現在、消費者庁では健康食品において、消費者に誤解を与えるような広告、宣伝をしている商品を取り締まっています。また、近年SNSの発達により、口コミで情報が簡単に広まってしまいます。真偽のはっきりしない商品の有効性や安全性の情報が、売り上げに大きく影響を与える可能性があります。その対策として、エビデンスレベルの高い結果を保持、公開する事によって、不確実な情報から自社商品を守ることに繋がります。
次に付加価値創造につながる点です。前述したように、近年、感染症流行の影響もあり、多くの方の健康意識が高まっています。お店に物を買いに行ったとき、商品のパッケージに「免疫力を高める」と記載がある商品とそのような記載がない商品がある場合、記載されている商品の方が手に取られやすく、買われやすいと思います。また、原料メーカーにおいて、自社の原料を他社に売り込む際に、有効性や安全性のエビデンスを有していることで、原料として採用される可能性も高まります。
これらのことからエビデンス取得は、商品開発における付加価値創造の一翼を担います。オルトメディコでは、食品のエビデンス取得をサポートしております。これまでに様々な食品の臨床試験を行っており、現在、UMIN-CTR (臨床試験登録サイト) の試験登録数No.1を誇っております。また、ヒト臨床試験以外にも、モニターリクルートや機能性表示届出代行など商品開発における様々なサービスを提供しております。ご興味がございましたら、お気軽にご連絡ください。
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