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2024.12.02
汚い!と思うかもしれませんが…
皮膚には1,000種以上の細菌が共生していると報告されています。
「細菌」と聞くと、なんとなく悪者をイメージしがちですが、
そんな細菌ばかりではないようです。
今回は皮膚に生息する代表的な細菌と
それらがもたらす免疫への影響についてご紹介します!
皮膚は体内環境と体外環境を隔てるバリア臓器であると同時に、
その表面には多数の細菌などの微生物が共生し、
皮膚特有の微生物集団を構成しています。
これらはただ皮膚表面に存在するだけでなく、
微生物同士あるいは宿主との相互作用を介して
安定かつ複雑な生態系を構成しています。
今回は皮膚に生息する細菌の代表例3つと
その特徴について簡単に紹介させていただきます。
菌名 | 特徴 |
---|---|
表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis) |
表皮ブドウ球菌は汗(アルカリ性)や 皮脂を餌にグリセリンや脂肪酸を作り出す。 脂肪酸は肌を弱酸性に保ち、 抗菌ペプチドを作り出すことで、 黄色ブドウ球菌の増殖を防ぐ。 表皮ブドウ球菌が出すグリセリンは、 皮膚のバリア機能を保つ役割がある。 |
アクネ菌 (Cutibacterium acnes) |
この菌は酸素がある環境では ほとんど増殖できず、死滅する。 そのため、酸素があまりない毛穴や皮脂腺に 存在し、皮脂を餌にプロピオン酸や脂肪酸を 作り出すことで、皮膚表面を弱酸性に保ち、 皮膚に付着する病原性の強い細菌の増殖を 抑える役割を担う。 一般的にニキビの原因と言われている。 |
黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) |
皮膚表面や毛穴に存在する。 存在しているだけでは問題はないが、 比較的病原性が高いため、 皮膚がアルカリ性に傾くと増殖して、 皮膚炎などを引き起こす。 傷を受けた皮膚をそのままにしておくと 化膿し悪化させてしまう。 食中毒の原因菌としても知られている。 |
皮膚の表層には、しわや毛包、皮脂腺などが存在します。
こうした多種多様な環境にさまざまな細菌が共生しており、
上記のように他の細菌の増殖を防ぐことで、
外部からの病原体の侵入を妨げていると考えられてきました。
しかし、それだけではなく、免疫システムの教育にも
影響を及ぼすことが示唆されています。
新生児の頃にはまだ発達途上の免疫システムは、
皮膚細菌の定着を炎症反応なしに受け入れますが、
この免疫寛容は、制御性T細胞が担っています1)。
3~5歳の子どもたちを対象に、
皮膚細菌の多様性と免疫の関係を調べた研究によると、
皮膚細菌の多様性が高い人は、免疫を制御するサイトカインの濃度や制御性T細胞の割合が高くなる傾向を示すことが明らかになりました2)。
この結果から、皮膚細菌の多様性が高い人はそうでない人と比べて
過剰な免疫応答が減少し、免疫反応が介在する疾患の発症リスクが低下する
ことが示唆されました。
細菌たちの目的はあくまで自分達の繫栄、つまり増殖することです。
そのために他の微生物の増殖を阻害あるいは他の細菌との共生を行います。
人間はそのような細菌たちの生存競争の恩恵を享受しているわけです。
ただ、そのバランスが崩れると炎症が起こってしまうので、
我々に棲んでいる細菌たちとうまく付き合っていけるといいですね!
見た目はちょっとアレですが…(^^;)
1) | Zhu Y, Yu X, Cheng G. Human skin bacterial microbiota homeostasis: A delicate balance between health and disease. mLife. 2023 Jun; 2(2): 107–120. |
2) | Roslund M, Puhakka R, Grönroos M, Nurminen N, Oikarinen S, Gazali A, et al. Biodiversity intervention enhances immune regulation and health-associated commensal microbiota among daycare children. Sci Adv. 2020;6:eaba2578. |
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は腸と免疫の関係について
配信を行う予定ですので、お楽しみに!
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