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2024.12.12
私たちヒトの大腸には、500~1000種相当の菌種が共生しており、その数は100兆個に及び、重さに換算すると1~1.5 kg程だといわれています。
これらの細菌を、腸内細菌 と呼びます。
今回はそのような寄生生物とも呼べるお腹の中の同居人のはたらきについて、ご紹介させていただきます。
一般的に、腸内細菌には大きく分けて3つのタイプが存在します。
タイプ | 主な菌種 | 働き | 理想割合 |
善玉菌 | 乳酸菌 ビフィズス菌 納豆菌 麹菌 酪酸菌 |
体に良い影響を与える菌。食物繊維を発酵することで短鎖脂肪酸であるプロピオン酸・酢酸・酪酸を作り出し、腸内を酸性にする。それによって、悪玉菌の増殖や活動が抑制される。さらに、感染症予防、ビタミンやたんぱく質の合成、免疫力の向上、発がん物質の生成を抑制などの働きもある。 | 2割 |
悪玉菌 | 大腸菌(有毒株) ウェルシュ菌 (Clostridium perfringens) ブドウ球菌 |
肉類などのたんぱく質を分解して便として排出する働きがあるが、必要以上に増殖すると腐敗物質や毒素、発ガン性物質などを産生し、病気の引き金となる。 | 1割 |
日和見菌 | バクテロイデス 大腸菌(無毒株) 連鎖球菌 |
善玉菌が優勢なら善玉菌に、悪玉菌が優勢なら悪玉菌に味方する菌。善玉菌が悪玉菌より優勢な限り有害な作用は及ぼさない。 | 7割 |
この3タイプが毎日縄張り争いを続けています。
基本的に健康的な腸内環境は善玉菌が優勢であり、その他の菌が劣勢である状態です。
善玉菌が腸内環境を酸性にしてくれるおかげで悪玉菌をはじめとした他の菌の増殖が抑えられ、体内の恒常性が保たれています。
善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になると日和見菌がそれに味方し、一緒になって炎症、発癌ならびに動脈硬化に関わる有害物質を作ります。
いくら体に良い菌もいるとはいえ、本来は異物を排除するのが免疫の役目です。
つまり、免疫細胞から攻撃を逃れられる腸内細菌は共存するための術を持っているハズです。
その役割の一端を担うのが、善玉菌が産生する短鎖脂肪酸です。
この短鎖脂肪酸によって
● | 抗体産生が促進され、腸の上皮バリア機能が増強される。 |
● | 免疫抑制に関与する制御性T細胞が増加する。 |
● | 細菌を攻撃するエフェクターT細胞を減少させる。 |
と考えられています。
短鎖脂肪酸を産生することで、自身が攻撃から逃れているように思えますが、過剰な免疫応答を抑えてくれると考えれば、宿主の免疫系を腸内細菌が教育しているといえるかもしれませんね。
1) | 光岡知足. 人の健康は腸内細菌で決まる!―善玉菌と悪玉菌を科学する. 技術評論社, 2013, 231p |
2) | 公益財団法人 腸内細菌学会:腸内細菌学雑誌 35 : 205-214,2021 |
適切に扱うことができれば、腸内細菌は人類にとって友のような存在ですね。
次回は腸内細菌に影響を及ぼす因子について
配信を行う予定です。
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