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2025.04.23
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春は気圧の変化や寒暖差が大きく、体調を崩しやすい季節です。特に、「前日との気温差」が大きいと体調不良を引き起こしやすいと言われていますが、このような前日との気温差が大きい日も、春と秋に多く現れる傾向があります1)。また、入学や転勤など、生活環境が変化しやすい時期でもあります。
このような気象や生活の変化が起こると、気付かないうちにストレスが溜まってしまうものです。
ストレスが溜まると、ご飯が食べられなくなったり、反対にやけ食いをしてしまったり等、食欲に影響が出た経験はありませんか?
今回はストレスと食欲の関係について、ご紹介します。
ラットでは拘束ストレスが原因で摂食量が減少することが知られていますが、ヒトの場合、精神的ストレスが加わると、そのストレスの種類や強さに応じて食事の摂取量は減少、増加、あるいは変化しないといった様々な反応が見られます。
ストレスの主な伝達経路は、自律神経系 (特に交感神経) と視床下部─下垂体─副腎皮質系の2つに大別されます。急性ストレスの場合は主に前者が関与し、慢性ストレスでは後者が主に関与します。
急性ストレスにさらされると、交感神経が活性化し、交感神経末端からノルアドレナリンが分泌されます。ノルアドレナリンは視床下部外側野にある摂食中枢のブドウ糖感受性ニューロンの活動を抑制します。このメカニズムが、ストレスによる食欲不振の神経生理学的な説明として挙げられています。
同時に、副腎髄質からはノルアドレナリンとアドレナリンが分泌され、交感神経の働きが強化されます。その結果、血圧の上昇、瞳孔の拡大、発汗、立毛、呼吸の促進などが引き起こされ、身体は戦闘モードに入ります。このような状態では、食欲が抑えられ、食事量が減少します。
一方、慢性的なストレスが続くと、脳の視床下部に信号が伝わり、副腎皮質刺激ホルモン放出因子 (CRH) の分泌が促されます。CRHは脳下垂体前葉に作用し、副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) の分泌を引き起こします。ACTHの作用で最終的に副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、ストレスがかかると分泌されるため、ストレスの生化学的な指標として使われます。また、コルチゾールはストレスから回復を促進するために食欲を増進させる働きがあり、その結果、食事の摂取量が増加します。
このように、ストレスの種類によって食事摂取量に与える影響は異なります (図1)。
図1. 急性・慢性ストレスによる食事摂取量の変化
一方、ストレスの強さによって食事摂取量の変化が異なり、強いストレス下では食欲が抑制され、食事摂取量が減少するという報告もあります。同研究では、それ以外の状況においては、反対に食事摂取量が増加すると報告しており3)、この増加は、普段からダイエットをしている人や、感情的に食べる傾向がある人に見られます。ストレスにより食事の制御ができなくなったり、感情の変化を食べることで抑えようとしたりするために、食事摂取量が増加すると考えられます。
ストレスには短期的な適応反応としての役割もありますが、過剰なストレスや慢性的なストレスが続くと、健康や生活の質に悪影響を及ぼすことが多い、というわけですね。
ストレスが食欲・食事摂取量に与える影響を紹介しましたが、エビデンスに基づき、食によるメンタルヘルスへのアプローチも行われています4)。
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【参考文献】
1) | 日本気象協会. 寒暖差が発生しやすい時期. https://tenki.jp/suppl/r_anzai/2024/11/14/32544.html (2025.02.12 検索) |
2) | 須藤紀子ら. ストレス負荷時の食事摂取量の変化と必要な栄養素─被災者への栄養・食生活支援のために─. 日本栄養士会雑誌. 53(4), 53-350 2010 |
3) | Macht M. How emotions affect eating: a five-way model. Appetite. 50, 1-11, 2008 |
4) | 松岡豊. 科学的根拠に基づく食によるメンタルヘルスへのアプローチ. 行動医学研究. 25(2),113-118,2020 |
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