オルトメディコスタッフの日々
スタッフブログ
2011.08.08
予備軍を含めると、国民の5人に1人が該当すると言われる糖尿病は、糖の代謝が不全となることで血糖値が異常に高い状態が続いてしまう病気です。高血糖そのものから起こる症状だけでなく、臓器障害や動脈硬化などの合併症が引き起こされやすくなり、治療が必要なのは当然ですが、糖尿病の診断が出ていないとしても日頃から血糖値が高めな人は注意が必要です。
正常域と糖尿病の間に位置する“未病”の方々は、かなりの数に上ると考えられます。したがって食品業界でも、「血糖値が気になる人に」のトクホをはじめとした、未病の方々を対象とした商品の需要は極めて高いといえるでしょう。
ここでは、糖代謝の代表的な指標である血中グルコース、グリコアルブミン、HbA1cを例にとり、糖代謝が改善されていくのをどのようにして測定するのかを、具体例を交え簡単に解説したいと思います。
■血中グルコース
いわゆる血糖値です。血液中のブドウ糖濃度です。空腹時のグルコースが126mg/dl以上が糖尿病域、110以上125未満が境界域(異常空腹時血糖)とされます。食後に上昇し、空腹時に低値となります。カフェインや運動の影響もあるため、正確に測定する場合は単に検査日の朝食を抜くだけでなく、しっかりとした生活管理が必要になります。糖尿病のコントロールや、糖代謝に関するヒト試験では、以下の指標と考え合わせて評価するのが一般的です。
■グリコアルブミン
血中のアルブミンというタンパク質と血中グルコースが結合したものです。アルブミンの寿命の関係で、直近1か月間の血糖値を反映すると言われます。したがって、数週間~1か月単位の血糖コントロールができているか等を判断するのに用いられます。1か月程度の継続摂取試験では必須といえるでしょう。平成20年の診療報酬の改定以降、手ごろなマーカーとしてよく利用されるようになりました。
■HbA1c
ヘモグロビンエイワンシーと読みます。ヘモグロビンが血中グルコースと結合したもので、過去1か月~2か月間といった比較的長期間の血糖値を反映するマーカーです。糖尿病の診断では古くからよく用いられてきました。4.3~5.8%が正常域で、6.5%以上が糖尿病域とされています。
■試験結果例
下図は弊社で受託した試験結果の例です。(2010年 第27回和漢医薬学会学術大会「降糖散の高血糖値低減効果のヒト試験による検証」)
血糖値が高めの境界域の方を対象にした、血糖値低減効果をみた有効性ヒト試験です(期間は3か月)。血糖値がまず下がり、その後グリコアルブミン(GA)が下がり、さらにそれらを追うようにHbA1cが下がっていくのがわかります。このように複数のマーカーを組み合わせて糖代謝能を測定していくことで、製品の有効性・安全性を科学的に示すことができます。
糖代謝マーカーについて簡単に解説しましたが、いかがでしたでしょうか。他にも、グリコアルブミンより短い期間の血糖値を反映し、食後血糖値を低減させる効果をみるのに適した糖代謝マーカーもあります。わからないことや、血糖値低減効果を試験したいがどうすればよいか?などございましたら、お気軽にお問合せ下さい。
参考文献
五十嵐雅彦 : グルコース. 日本臨牀 2009 ; 67 (suppl 8.) : 695-699.
武井泉 : グリコアルブミン. 日本臨牀 2009 ; 67 (suppl 8.) : 708-711.
佐藤麻子 : グリコヘモグロビン (HbA1c). 日本臨牀 2009 ; 67 (suppl 8.) : 700-703.
ヒト臨床試験 (ヒト試験)
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