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新規試験デザインの紹介
~嚥下機能の維持・低下抑制~

嚥下機能は、食塊が通過する時間的経過から、口腔期、咽頭期、食道期に分けられ、それぞれが末梢性と中枢性の精密な神経調節を受けています1)。これら一連の動作に障害が生じることを嚥下障害といい、嚥下機能の低下因子としては、加齢および脳血管疾患や認知症などの疾患が報告されています2)
嚥下障害は高齢患者に必要な栄養素の摂取を妨げ、体重減少、栄養不良、脱水、誤嚥性肺炎、窒息、不安、社会心理学的障害などの深刻な合併症を引き起こす2)とされ、虚弱高齢者における嚥下機能は健康関連QOLの低下に関連することが確認されています。
また、日本の嚥下障害の現状として、①一部地域における調査によると、65歳以上の高齢者では12.7%が加齢に関連した誤嚥を起こす可能性が示され、その傾向は加齢に伴って増加すること、②介護保険サービスを使用しながら在宅療養を継続している要介護高齢者の約5%が傾向摂取困難であり、経管栄養に依存していること、③自宅で嚥下の問題を抱える高齢者は、経口摂取者のうち約35%に達することの報告がなされています3)。したがって、超高齢化社会を迎える日本において、嚥下機能の低下を抑制する対策は喫緊の課題とい、嚥下機能を維持することは、健康関連QOLの向上に寄与し、ひいては健康の維持増進に貢献するものと考えます。

  • 1) 日本耳鼻咽喉科学会編. 嚥下障害診療ガイドライン 2018年. 東京: 金原出版株式会社; 2018.
  • 2) Chen K et al. Front Med. 2022;9.
  • 3) 森澤広行et al. 日摂食嚥下リハ会誌. 2019;21(2):83–91.

UMIN-CTRを用いた調査結果

UMIN Clinical Trials Registry (UMIN-CTR) は、臨床試験の登録システムであり、臨床試験の透明性を担保する役割を担っています。そのため、機能性表示食品の届出を目的とした臨床試験は、UMIN-CTRのような登録システムへの登録することが望ましいです。つまり、UMIN-CTRに登録された臨床試験を分析することで、市場の動向や試験の実施可能性など様々な情報を得ることができます。

健常者を対象としたヒト臨床試験 (ヒト試験) の実施数

調査対象である23件の男性機能関連試験のうち健常者を対象とした試験は9件 (37%)、疾病者を対象とした試験は15件 (63%) でした。半数以上が疾病者を対象として実施されていました。

採用された試験デザインの要約

抽出した試験においてどのようなデザインが採用されているか調査しました。試験デザインは、健常者を対象とした場合と疾病者を対象とした場合にわけて集計し、下表に要約しました。その結果、二重盲検・ランダム化・並行群間比較デザインが最も多い結果でした。健常者を対象とした場合の目標症例数は100例未満が主に公開されていました。

<試験デザイン>

<症例数>

詳細の集計結果はPDFをご覧ください。

集計結果詳細PDF

採用された主要アウトカム一覧

抽出した試験においてどのような主要アウトカムが採用されているか調査しました。調査対象の試験の主要アウトカムを下に一覧表で示しました。日本語版耳鳴苦痛度質問票 (Tinnitus Handicap Inventory; THI-J) が半数以上の試験で採用されていることがわかりました。

UMINID 分類 主要アウトカム
UMIN000006468 疾病者 喫食率、摂取栄養素量、栄養状態、研究食の安全性
UMIN000007348 疾病者 食事摂取量・食事時間・食事中のむせの状態等の評価
UMIN000008946 健常者 嚥下反射の促進
UMIN000009249 疾病者 嚥下時の食塊の位置、咀嚼時間,誤嚥の有無
UMIN000017859 疾病者 誤嚥、喉頭侵入、口腔残留、咽頭残留、食塊形成能
UMIN000019243 疾病者 嚥下反射の惹起時間
UMIN000026316 健常者 嚥下時の舌骨上筋群の筋活動時間
UMIN000029157 疾病者 咀嚼機能評価: グミを30回、自由に咀嚼させ吐き出させる。グミの粉砕度合をスケール表にて評価する。咬合能力は咬合能力測定器を使用し咬合圧を測定する。 嚥下機能評価:評価については、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会「嚥下内視鏡検査の手順2012 改訂」を参照に咀嚼嚥下評価を行う。 具体的には、グミを嚥下可能な状態まで咀嚼し嚥下させ、その様子を経鼻咽頭ファイバーにて観察し、嚥下時にむせがないか、グミの残留の有無、なめらかに咽頭に流入しているかを点数評価する。 観察結果をデータベース化し、下顎骨再建後の患者の評価に適した大きさや形態、色調の検討を行い、調整したグミを作成する。これを用いて下顎骨再建後の患者に改めて咀嚼機能評価と嚥下機能評価を行う。また、咀嚼機能と嚥下機能にて得られたデータを基に咀嚼・嚥下機能統合評価として機能評価法を検討する。
UMIN000029528 疾病者 開始から3ヶ月後の食事時間、栄養状態、嚥下機能
UMIN000032168 疾病者 誤嚥性肺炎発生率の低下
UMIN000038361 疾病者 術後2週間目に舌圧が低下した患者の割合
UMIN000040819 疾病者 ガムテストによる咀嚼力の評価 舌圧測定器による舌圧の測定
UMIN000041057 疾病者 嚥下反射惹起の閾値
UMIN000042921 健常者 唾液pH
UMIN000043246 疾病者 咬合力 MRIでの側頭筋萎縮
UMIN000044947 疾病者 咀嚼能力
UMIN000045850 健常者 咬筋活動 咬合力、咬合接触面積 エネルギー消費 運動機能 ・握力 ・垂直跳び ・重心バランス (静的、動的)、心拍指標 身長、体重、BMI
UMIN000047048 健常者 咬合力、咬合接触面積、咬合バランス 運動機能 ・握力 ・重心バランス (静的、動的)、身長、体重、BMI、筋肉量
UMIN000047051 健常者 咬筋酸素動態、筋電波形変化 咬合力、咬合接触面積、咬合バランス 運動機能 ・握力 ・重心バランス (静的、動的)、身長、体重、BMI、筋肉量
UMIN000047883 疾病者 咀嚼運動周期の評価
UMIN000048144 疾病者 嚥下内視鏡検査での誤嚥をPenetration-Aspiration Scale (PAS) で評価
UMIN000048328 健常者 6か月の介入前後における口腔機能 (舌圧、舌口唇運動機能、咀嚼機能) 口腔機能に関連したアンケート評価
UMIN000048454 健常者 1) 口唇閉鎖力 2) 舌圧 3) 舌口唇運動 4) 咬合力、咬合接触面積、咬合バランス 5) 咀嚼能力、咀嚼運動軌跡 6) 音声解析 7) 口腔診査 8) 口腔アンケート 9) 身長、体重
UMIN000048946 健常者 *咀嚼能力評価 *上口唇捕捉テスト *口唇縦横比 *舌口唇運動 *吹き戻しテスト *フーセンガム膨らませ *口笛テスト *口腔アンケート

オルトメディコが提案する試験デザイン

オルトメディコがおすすめする「嚥下機能」に関連したアウトカムを設定する場合の試験デザインを紹介します。是非、みなさまの研究開発のお役立てください。

試験概要

項目 内容
試験デザイン 並行群間比較試験
ランダム化
盲検 二重盲検
介入期間 84日間 (12週間)
来院回数
(スクリーニング検査含む)
3回 (スクリーニング検査、6週間後来院検査、12週間後来院検査)
実施症例数 56症例
評価項目
※食事調査、日誌、医薬品服薬状況を除く項目は来院検査時に測定します。
【有効性評価項目】
  • 舌圧
  • 100 mL 水飲みテスト
  • Eating Assessment Tool-10 (EAT-10)
  • MOS 36-Item Short-Form Health Survey (SF-36)
【スクリーニング検査時にのみ実施する検】
  • MMSE
【安全性評価項目・その他の評価項目】
  • 体組成、身体測定、理学検査、末梢血液検査、尿検査、問診、食事調査 (来院検査前3日間を記録)、日誌 (毎日記録)、医薬品服薬状況 (医薬品を服薬した際に記録)

価格例のページにて、評価指標の概要や試験スケジュール、見積書を公開しておりますので、ご覧ください。

価格例ページ

オルトメディコは、モニター運営、ヒト臨床試験 (ヒト試験)、統計解析、論文作成、 機能性表示食品の届出まで一貫して行うことが可能です。

各分野のプロフェッショナルが皆様の
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データセットの概要

データソース: UMIN-CTR
データ取得日: 2023年3月27日
抽出手順:
  • ① 2023年3月27日時点で介入の種類が「食品」である全てのデータを抽出
  • ② ①から一般公開日が2022年12月31日以前の全てのデータを抽出
  • ③ 2022年3月1日に公開された「UMIN000046902」を除外
  • ④ データクリーニング
  • ⑤ 摂食嚥下に分類された試験を抽出
クリーニング:
  • ① 主要アウトカムをオルトメディコ独自の分類法に従い42種類に分類 (※)
  • ② 「対象疾患名」、「疾患区分」のデータから「健常者」と「疾病者」に分類

※分類の定義の詳細は、オルトメディコまでお問い合わせください。

解析レコード数: 4598試験 ⇒ 4597試験 ⇒ 24試験

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