新規試験デザインの紹介
~耳鳴りによる不快感の緩和~
日本聴覚医学会の用語一覧によると、音響の受容から認知までの機構と機能およびそれを通じて生じる感覚のことを「聴覚」と呼び、また、聴覚の諸機能の感度や精度のことを「聴力」と呼びます。
聴力は加齢とともに変化し、過去に行われた日本人聴力の加齢変化の研究では、60代から聴力が低下することが明らかにされています1)。そして、60歳以上の難聴者を対象にした研究では、聴力は認知機能障害の主な危険因子である可能性が示されています2)。また、難聴を訴え病院を受診している70歳代の中等度難聴者における精神面の生活の質 (QOL) [SF-36のMCS] は国民標準値より低下していたことも別の研究で報告されています3)。このように、聴力の低下は認知機能や精神面のQOLに影響を与える可能性があり、世界保健機関 (WHO) 憲章で定められる健康の定義—健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱 の存在しないことではない。—に基づく「健康」を維持する上で、聴力を維持または向上することは、日本人の健康寿命を延ばす一助となり得ます。
未だ聴力に関連する機能性表示食品はありませんが、健康の維持・増進の観点からは機能性表示食品制度にも適合するものと考えられます。そこで、オルトメディコでは、聴力での機能性表示食品を検討されている方へ試験デザインを提案いたします。
- 1) 立木孝ら. Audiol JAPAN. 2002;45(3):241–50.
- 2) Sugiura S et al. Auris Nasus Larynx. 2022;49(1):18–25.
- 3) 中嶋聡美et al. Audiol JAPAN. 2022;65(4):253–61.
UMIN-CTRを用いた調査結果
UMIN Clinical Trials Registry (UMIN-CTR) は、臨床試験の登録システムであり、臨床試験の透明性を担保する役割を担っています。そのため、機能性表示食品の届出を目的とした臨床試験は、UMIN-CTRのような登録システムへの登録することが望ましいです。つまり、UMIN-CTRに登録された臨床試験を分析することで、市場の動向や試験の実施可能性など様々な情報を得ることができます。
健常者を対象としたヒト臨床試験 (ヒト試験) の実施数
調査対象である8件の聴力関連試験のうち健常者を対象とした試験は5件 (62%)、疾病者を対象とした試験は3件 (38%) でした。半数以上が健常者を対象として実施されていました。
採用された試験デザインの要約
抽出した試験においてどのようなデザインが採用されているか調査しました。試験デザインでは、健常者を対象とした場合と疾病者を対象とした場合にわけて集計しました。その結果、二重盲検・ランダム化・並行群間比較デザインが最も多く、健常者を対象にした場合は目標職例数が100例以上の試験も公開されていました。
<試験デザイン>
<症例数>
詳細の集計結果はPDFをご覧ください。
採用された主要アウトカム一覧
抽出した試験においてどのような主要アウトカムが採用されているか調査しました。調査対象の試験の主要アウトカムを下に一覧表で示しました。日本語版耳鳴苦痛度質問票 (Tinnitus Handicap Inventory; THI-J) が半数以上の試験で採用されていることがわかりました。
UMINID | 分類 | 主要アウトカム |
---|---|---|
UMIN000003022 | 疾病者 | 耳鳴ハンディキャップスコア 聴力検査、耳音響放射検査 めまいハンディキャップスコア |
UMIN000020950 | 健常者 | 耳鳴苦痛度調査票 (THI) |
UMIN000026251 | 疾病者 | 耳鳴苦痛度問診票 (THI-25)、治療開始から4週後 |
UMIN000034706 | 疾病者 | 標準純音聴力検査 (4分法、もじくは全周波数平均) のベースラインからの変化量 |
UMIN000031207 | 健常者 | 耳鳴りVAS (大きさ/鳴っている時間/気になり方) と各スコアを合計した総スコア |
UMIN000045724 | 健常者 | THI質問票、ピッチマッチ検査、聴力検査 |
UMIN000048608 | 健常者 | 摂取8週間後検査における日本語版Tinnitus Handicap Inventory (THI-J) の合計得点 |
UMIN000048951 | 健常者 | 主観的な聴力機能の効果実感・きこえについての質問紙2002・日本語版Hearing Disability and Handicap Scale・日本語版Hearing Handicap Inventory for Adults又は、Hearing Handicap Inventory for the Elderly・視覚的評価スケール 客観的な聴力機能 純音聴力測定・iCI-2004 |
オルトメディコが提案する試験デザイン
オルトメディコがおすすめする「聴力」に関連したアウトカムを設定する場合の試験デザインを紹介します。是非、みなさまの研究開発のお役立てください。
試験概要
項目 | 内容 |
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試験デザイン | 並行群間比較試験 |
ランダム化 | 有 |
盲検 | 二重盲検 |
介入期間 | 84日間 (12週間) |
来院回数 (スクリーニング検査含む) |
2回 (スクリーニング検査、12週間後来院検査) |
実施症例数 | 56症例 |
評価項目 ※食事調査、日誌、医薬品服薬状況を除く項目は来院検査時に測定します。 |
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価格例のページにて、評価指標の概要や試験スケジュール、見積書を公開しておりますので、ご覧ください。
オルトメディコは、モニター運営、ヒト臨床試験 (ヒト試験)、統計解析、論文作成、 機能性表示食品の届出まで一貫して行うことが可能です。
各分野のプロフェッショナルが皆様の
試験を成功に導きます。
データセットの概要
データソース: | UMIN-CTR |
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データ取得日: | 2023年3月27日 |
抽出手順: |
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クリーニング: |
※分類の定義の詳細は、オルトメディコまでお問い合わせください。 |
解析レコード数: | 4598試験 ⇒ 4597試験 ⇒ 8試験 |
ヒト臨床試験 (ヒト試験)
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